暴れ馬には腐った自由を


暴れ馬には腐った自由を


そうかそうか苦しいか

泥を跳ね上げ

怒り(いなな)

心臓を吐き出すのは


そうかそうか絶望か

荒野で一匹

ぽつねんと

狂うことにも疲れ果て

砂塵に吹かれて

脚を折るのは


ならば、そこの暴れ馬

私は神だ

自由をやろう

四肢を差し出せ

鎖をはめろ

目を閉じ 耳閉じ

呼吸を止めろ


如何に感じる自由の味は

いやいや失敬、お前は馬か

歓喜の涙も知らぬはず

良いとも良いとも

貴様一匹天に帰すとも

私は神だ、感謝はいらぬ

そのままじっと息絶えるまで

自由のために全てに怯え

ほんの一時

神の余燼(よじん)で暖をとれ



作:知伊田月夫

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